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おだこう

大学の学びから国際的視野を養う!?医動物学編

更新日:2022年6月10日





皆さんこんにちは。

4月の臨床検査技師100人カイギで登壇しました、大学3年生の小田航です。

国際的な臨床検査技師を目標に大学生活を送っています。


今回のコラムでは、大学で学んだ医動物学の内容をベースとして、

“グローバル化と生活習慣の変化が如何に寄生虫感染へ影響を与えているか”

をテーマにお話したいと思います。


寄生虫感染はIgEや好酸球が増加する”でお馴染みと思いますが、

寄生虫とは、他の生物に寄生することで生を全うできる生き物です。

マラリア原虫のようにヒトに致命的な害を与える寄生虫もいますが、

大部分は宿主と上手く共生して暮らしています。


ヒトに暮らしやすい環境があるように、寄生虫にも好んで寄生する生物

(宿主特異性)や部位(寄生部位特異性)があります。

ホタルイカやクマ肉等を生で食べて感染した際に問題となるのは、

その寄生虫にとって、ヒトの体内が居心地の悪い環境であった場合です。

良い環境を求めて体内を巡り、時には眼や脳など重要な器官に移動します。

幼虫移行症と言われていますが、重篤な症状に至るケースもあります。


そんな寄生虫ですが、日本では感染例の報告は多くありません。

しかし、世界的には三大感染症の1つであるマラリアや顧みられない熱帯病

(NTDs)が問題となっています。

世界の10憶人以上(2010年)の人々が悩まされている感染症であるからです。

世界人口が79億5400万人(2022年)のため、8人に1人は感染していることになります。


グローバル化と食生活の変化によって、日本でも輸入感染症等の形で影響を

及ぼしています。

・旅行者や入国者によって持ち込まれるようになった。

・感染源となる動物、食品等が輸入されるようになった。

・普段は食べることのない生き物を生で食す機会ができた。


生の糞尿による肥料を用いた有機栽培食品を食すことで、回虫卵の経口感染

にあったり、海外へ渡航した方が感染して帰国するケースもあります。

生で糞尿を利用しないこと、しっかり検疫することが大切ですよね。

国によっては、感染源となる生き物を生で食す文化もあるため、勧められた

際の断り文句なども用意した方がよいと思います。


また、世界では食料問題が深刻化しています。

世界の飢餓人口は8億2000万人以上(2018年)とみられ、世界総人口のおよそ

9人に1 人が飢餓に直面しています。

解決策として、昆虫食等の新たな食品にも注目が集まっています。

このような食品を感染なく食べるためにも、その生き物への正しい知識が必要ですよね。


こうしてみると、啓蒙活動や水際での十分な検疫、そしてグローバルな視点を持ち、

臨床から研究まで取り組んでいくことが、求められると感じました。

視野を海外へ広げてみると、大学での学びも広がります。

皆さんも是非興味を持ったことは、掘り下げてみて下さい。


〈参考〉

最新臨床検査学講座 医動物学第2版 平山謙二(医歯薬出版株式会社)

ひつじ科学ブックス 寄生虫学はおもしろい 藤田紘一郎(羊土社)

世界人口白書(State of World Population)2022

World Health Organization 2010”Working to overcome the global impact of neglected tropical diseases”

世界食料デー World Food Day 2019

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